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ニコチン酸アミドに依るDuhring氏疱疹状皮膚炎の1治驗例—特にその光線過敏性に關して
平田 欣一
1
1東京慈惠會醫科大學皮膚科學教室
pp.593-596
発行日 1953年10月1日
Published Date 1953/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201053
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緒言
ニコチン酸及びニコチン酸アミドはビタミンB複合體の1因子で,その化學構造式は次の如くであり,生體酸化に於て重要なる役割を演ずる脱水素酵素の助酵素であるPyridin Nucleotideの成分である。而してElvehjemがニコチン酸缺乏の犬の肝臓及び筋肉内に於て,Coenzyme Iの減少している事を認めて以來,犬の黒舌病及び人間のPellagraに俄然有効である事が認められて所謂Pellagra豫防因子(P-P-因子)として知られて來た。又抗アレルギー作用の有する事も分ると共に一方ニコチン酸はPorphyrin代謝とも密接なる關係があつて,光線過敏性を有する患者に用いて屡々効果のある事も報告されている。
從衆Duhring氏疱疹状皮膚炎はその原因が未だ不明である爲,現在迄種々の療法が施行されて居り就中Germanin,Aureomycinが有効とされて居て,最近ではSulfapyridin等の抗菌性物質や之と拮抗的作用を有するパラアミノ安息香酸の本疾患に對する効果も認められて來たが,何れも特効的という程の物ではないのが現状である。
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