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レスタミンカルシウムに依る皮膚疾患の治療
多田 章
1
1久留米醫科大學皮膚科泌尿器科教室
pp.465-467
発行日 1950年11月1日
Published Date 1950/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200422
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緒言
掻痒と皮膚疾患とは多くの場合常に密接な關係にあつて患者にとつては勿論,醫師にとつても重大な關心事である。處が掻痒の本態の究明が完全でない現在,尚ほ徹底した處置の講じ得られないことは誠に遺憾である。然し近時は抗ヒスタミン劑(以下抗ヒ劑と略す)の出現を見,本劑が單にアレルギー性疾患ばかりではなく,その止痒作用の的確なる點に於て皮膚科領域にも廣く應用される様になつて來た。抑々抗ヒ劑をアレルギー性疾患に用い様としたのはA.Biedle und R.Kraus,Lewis, Sir Heury Daie等の所謂ヒスタミン學説を基としてDzsinichの治療試驗に始まり,ヒスタミン療法,ヒスタミンアゾプロテイン療法,ヒスタミンナーゼ療法,エピレナミン並びにアドレナリン療法,續いて1933年Fourneau, Bovet及びStaub等の芳香族エーテルによる抗ヒ劑の發見が端緒となり1942年フランスのHalpernがAiiterganを發表して以來主に佛,米,スイスで盛んに研究され1944年にはBovet等によりNe-oanterganが,1945年にはLoew及びMayer等によりBenadryl及びPyribenzamin等が續々と合成せられた。本邦に於てもレスタミン(興和),ベナドリン(田邊),アロジール(三井染料)等が作られ臨床上殊にアレルギー性疾患及び掻痒性疾患に廣く用いられ卓效を奏している。
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