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図81リンパ球には大きく分けて,免疫グロプリンを作るB cellと免疫反応に関与するT cellがある.末梢血のB cellの約10%には細胞膜上に免疫グロブリンが証明されるので,T cellとの鑑別が可能である1).これらは主としてIgD,IgMであるが,少数のものにはIgG,IgAも証明される1).IgEを持ったB cellはアレルギー性疾患に際して出現するが,普通は稀である.これらの膜に付着した免疫グロブリンは細胞内への膜の取り込みによって細胞質中にも散在するので,螢光抗体法で探すと細胞膜のみならず,細胞質に顆粒状の螢光物質が証明されるのである1).B cellの表面には多くの絨毛が発生するのに対し,T cellの表面は割合平滑であるとされたが,この走査電顕による鑑別法は,細胞の固定操作の方法によって一定しないといわれる.更にマウスの赤血球凝集,細胞膜にIa抗原の存在することなどがB cell鑑別に使用された.T cellは羊の赤血球を凝集する反応以外には決定的な同定の方法がなかった.しかし最近,単クローン抗体でTcellの細胞膜抗原を識別する方法が確立され,Tcellのsubsetも皮膚で染め分けられるようになった.
T cellの細胞膜を分離してマウスの腹腔内に注射すると,それに対する抗体産生細胞(B stemcell)が刺激されて増殖し,同一細胞の系列化(クローン)ができる.これが単クローンである.そのようなB cellを脾臓より取り出して,マウス骨髄腫に由来し,それ自身は免疫グロブリン産生能を失った腫瘍細胞と融合させると,半永久的にTcellの膜抗体を産生し続けるhybridomaができる.脾臓の単クローンB cellを培養してT cell膜抗体を作らせてもよいが,B cellの寿命は短く,且つ大量生産には向かない.腫瘍細胞との合成細胞を作った所が本法2)のミソであろう.現在手に入るT cellとそのsubsetの膜抗原に対する単クローン抗体には次のような種類がある.これらはすべてマウスで作られたIgGである(Leu7とLeu11はIgM).
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