連載 皮膚病理の電顕・36
菌状息肉症(Ⅴ)
橋本 健
1
,
岩原 邦夫
2
Ken HASHIMOTO
1
,
Kunio IWAHARA
2
2順天堂大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Wayne State University School of Medicine
2Department of Dermatology, Juntendo University School of Medicine
pp.707-710
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203090
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図83菌状息肉症やセザリー症候群がT cellの腫瘍であるとすると,NCIはT cellのみで計測しなければ意味がない.普通の電顕写真でTcellをB cellや組織球などから区別する微細構造的特徴はない.従って膜抗原の染色が単クローン抗体の応用により組織で可能となるまでは,核膜の入りくんだいわゆるcerebriform cellのNCIを計測していた1〜4).図83Aで示したようなLeu 3a陽性のhelper cellの集合部分を電顕でみると,図83Bのようにリンパ球様の細胞の集合がみられる,しかし,この中でNCI 7.18の細胞のみがLeu 3a陽性,即ち細胞膜がDABの酸化物で電子密にラベルされている.他の2つの細胞は染まっていない,しかし核には中等度の切れ込みがあり,Leu 3aの染色なしでは最初の細胞との区別が難しい.NCIを無染色の標本で計測する場合,当然これら2個の細胞のNCIも計算に入れることになり,不正確なデータの原因となる.我々の最近の研究5)では,T cellは一般にnon—T cellよりNCIの値が高い.本図でもNCI5.67と6.25の細胞はLeu 3a陽性の細胞のNCI7.18より低い値を示す.NCI 6.25の細胞はsup—prcssorかもしれないがNCI 5.67の細胞は組織球のようである.
×3,600挿入図:×189
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