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Trichotillomanieの1例
大橋 二郎
1
1京都府立医科大学皮膚泌尿器科教室
pp.285-287
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201675
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Ⅰ.緒言
Trichotillomanieとは,異常なる精神衝動に依り自己の毛髮を暴力的に抜去し,然も該部の皮膚及び毛髮には何等の病的変化をも認め得ない疾患にして,1889年Hallopeau1)が始めて報告せしものである。その後Besnier2),Raymond,Wolters,Sutton3),Coppola4),Karrenberg等,次第に其の報告例増加し,病名もTrichotillomanie,Tri-chomanie,Manuelle Alopecie,Trichokypto-manie,Trichopathobia,Tic de l'epilation,等種々の名称が附される様になつた。本邦に於ても,古くは土肥5),大橋6),田上7)等,更に平山8),高安9),和田10,最近には池永11),田上12)等の報告あり,余の渉獵せし所では21例を数うるに到り,その名称にもTrichotillomanie,毛髮痒感狂,抜毛狂,毛髮抜取癖等が用いられている。最近余はその興味ある1例に接し得たので茲に報告する。
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