Japanese
English
今月の症例
1.直腸カルチノイドの1例
I. Carcinoid Tumoer of the Rectum, Report of a Case
中嶋 秀麿
1
,
石川 勉
1
,
牛尾 恭輔
1
,
赤須 孝之
2
,
森谷 冝晧
2
,
下田 忠和
3
Hidemaro Nakashima
1
1国立がんセンター中央病院放射線診断部
2国立がんセンター中央病院外科
3国立がんセンター中央病院臨床検査部
pp.8-9
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103906
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〔患者〕67歳,男性.主訴:便通異常.現病歴:1995年7月,排便異常を訴えて来院.注腸検査で直腸のカルチノイドを指摘され,切除が必要であると診断された.入院時理学的所見:直腸診で右前壁に固い腫瘤を触知した.また,カルチノイド症候は認められなかった.臨床検査成績:CEAなどの腫瘍マーカーに異常はなく,尿中・血漿5-HIAAの定量も正常であった.
〔大腸内視鏡所見〕肛門縁から11cmの部位に母指頭大の粘膜下腫瘍の形態を示す半球状の隆起性病変が認められた(Fig. 1a).隆起の表面は平滑で,やや黄色調を呈し,血管透見像が認められた.隆起頂部に発赤した不整陥凹を伴っており(Fig. 1b),同部位からの生検でカルチノイドと診断された.拡大観察(Fig. 1c)で腫瘍全体は正常上皮のパターンを呈していたが,特に頂部の陥凹周囲ではpit間は開大し,上皮の菲薄化が認められた.
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