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前立腺剔除術後発生せる茸状膀胱異物結石の1例
神長 次朗
1
1昭和医科大学泌尿器科教室
pp.287-293
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201676
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緒言
膀胱結石は決して珍らしいものでは無く,又膀胱内の異物が核となつてこれに塩類が附着し,結石の形成せられることも周知の事実である。膀胱異物も種々報告せられており,統計的観察も先人により度々試みられているところであるが,土屋・豊田氏は1951年に,1903年の熊谷氏及び匹田氏の各症例以後の報告を集録して,自験例の5例を加え52例の既往手術に依る膀胱異物を観察し,1954年には金沢氏等がその内より縫合糸を核とした膀胱結石について詳細に報告している。又先に吾が教室の有田は膀胱異物の統計的観察を行つたが,その1例に縫合糸を核とせる異物結石なることを報告している。
私は最近,前立腺剔除術後の前立腺腔に縫合糸を核として発生し,それが更に膀胱内に突出,茸状の形態をせる膀胱異物結石の1例を経験したので此処にその概略と膀胱異物結石について些か考察を加えて見たいと思う。
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