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外鼻孔に発生したGlomustumor(皮膚糸毬腫)の1例
松下 正幸
1
1日本医科大学皮膚科教室
pp.1067-1069
発行日 1955年12月1日
Published Date 1955/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201560
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緒言
皮膚グロームス(皮膚糸毬,神経筋肉動脈毬)とは通常手足の爪床,指趾末端部皮下等に存するところの微小の動静脈吻合である。1862年Sucquetは毛細血管を介することのない特殊な動静脈吻合の存在を指摘したが,1877年Hoyerもこの事実を実証し,Sucquet-Hoyer氏吻合として知られるに至つた。すなわちグロームスは微小の動脈および静脈によつて構成され,小動脈の集塊を中心としてその周辺を小静脈群がとり巻いている。吻合部位の血管壁には平滑筋細胞の変形したものと考えられる類上皮細胞様の形態を示すいわゆるグロームス細胞があり,さらにその外周の結合織には無髄神経線維が糸巻のようにとり巻いている。グロームスは手指等が寒冷にさらされた際に血流を調節することによつて,体表の温度を上昇せしめる機能があるとされている。
グロームス腫瘍の記載は古く1812年Woodにはじまり,painful subcutaneous tubercleという名称で呼ばれた。
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