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海外トピツクス
Danbolt.
pp.1011-1012
発行日 1955年11月1日
Published Date 1955/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201546
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煙草タールと膀胱腫瘍
アニリン色素が膀胱腫瘍の発生と関係のある事は古くから知られていたが,最近L.R.Holsti & P.Ermalaは煙草タールも膀胱の癌原物質となり得る事を見出した。彼等の実験の本来の目的は煙草タールを白鼠の口唇及口腔内に塗布して,その部分の癌発生を期待したものであつたけれども,予想に反して膀胱に腫瘍発生を見たものである。
60匹の白鼠に連続140日間口唇及口腔に煙草タールを塗布し,12ヵ月後に剖検を試みて腫瘍発生を検索したところ,膀胱にのみ腫瘍を認めた。60匹中実験中に20匹死亡したので,結局40匹の白鼠のうち,35匹に膀胱三角部に乳頭腫の発生が確かめられた。中でも6例の乳頭腫は癌性変化をしめし,2例で腫瘍細胞は膀胱周囲組織に浸潤し,1例では筋層全層に浸潤が認められた。この乳頭腫は一般に結合組織が少く,移行上皮性で層が厚かつたが,腫瘍細胞の悪性度は高くなく,転移は見出されなかつた。
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