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ビタミンB12による2,3の皮膚疾患の治療
中村 家政
1
,
甲斐 裕文
1
,
田尻 眞澄
1
1熊本大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.269-272
発行日 1955年5月1日
Published Date 1955/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201415
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緒言
1948年RickesとSmithとが相前後して肝臓エキスより抽出したビタミンB12(以下B12と略す)は当初赤血球系を中心とした造血器に卓効する藥剤として登場したのは周知の通りであるが,その後量産の可能となるにつれて生物学的研究が活発となり臨床的応用範囲は次第に拡大されようとしている。即ち本剤は各種の神経症状殊に神経痛に有効であり,(Field & Hoff,Surtees,Hy-ghes,三好等)食欲不振・下痢にも奏効すると云う(Rail,Edin)。心機能不全症・腎炎・脚気・肝疾患・腹水に際して又可成り強い利尿作用を示す(石上)。特に皮膚科に関係の深い方面を求めてみると本剤を投与した白鼠はThiouracilによる甲状腺肥大を阻止し(Meites),ゴマ食によつて障碍された睾丸組織も改善され,雌の生殖器が刺戟されると云う(Gassner)。この他純白の頭髪を持つたある悪性貧血患者が本剤投与によつて僅か2カ月分に死んど黒毛に変つたと云う松岡の報告もあり,兎も角本剤と内分泌との関係も否定出来ない様である。又本剤は肝臓の脂肪沈着を防ぎ,或は沈著した脂肪を除去するLipotropic Substanceとして補酵素的にTransmethylationに関与し,purine pyrimidineの塩基とRibose Deoxyriboseを結合してNucleosideを合成する。
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