特集 皮膚泌尿器科診療の進歩
尿石症の再発予防
原田 彰
1
1横浜医大
pp.845-849
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201336
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
保存手術後の同側の再発は洋の東西を問わず大体16.5%である。しかるに反対側の再発は2〜4%に過ぎない。再発には真の再発と見掛け上の再発がある。後者は保存的手術に際して完全に除去し得なかつたか,余り小さくてレ線で証明されない小結石の存在を考慮に入れなかつたか,或はレ線透過性尿石であつた為に初めから存在が不明であつた等の理由により残存した尿石が約半年以内に症状を現はすもので,Cabotは保存的手術後の再発を調べ50%と云う値を得たが,この中には少なからぬ仮性再発がある。かゝる仮性再発は手術中に摘出した結石の数と形とを術前のレ線像と比較し,或は新しく出来た破碎面の有無を摘出結石に就て調べ,又尿管カテーテルを以て全尿管の疎通を調べ或は出来得れば術中レ線撮影を行うなどして,尿石のとり残しのない事を確めねばならぬ。
之に対しDeesはFibrinogen coagulumを用いる事を考えた。即ち腎盂に小切開を加えてネラトンカテーテルを挿入し腎盂洗滌後ブイブリノーゲン溶液(人又は牛の血漿から作くる)を注入充満し次でトロンビン(clotting globulinと称し2%に調製したグロブリン分劃)を前者の1/10容注入する。30秒から凝固が始り4分後には見事な腎盂の鋳型が出来る。その張力は血液凝塊の10〜20倍に達し尿石又はその研片は洩れなく包まれるから之を腎盂切開創から取出す。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.