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強カネオミノフアーゲンCの尋常痤瘡に対する治驗
吉田 正夫
1
1九州大学医学部皮膚科学教室
pp.247-249
発行日 1954年4月1日
Published Date 1954/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201192
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緒言
皮膚科領域における含硫アミノ酸の生物学的意義については色々論議され組織の新陳代謝に及ぼす影響は大でありまたアレルギー性疾患に対する作用も期するものあることは諸家の認めるところである。含硫アミノ酸製剤なる本剤の効果に関しては吉田(重),櫻根,丸岡,荻原,野口,加生,増谷,亀甲氏らはアレルギー性掻痒性皮膚疾患に著効あるを認め,なかでも上月氏によればAtopi型に効果の顕著なるを認め,土肥(淳)氏によるとその効果は皮膚角膜層に著しきものありという。また高石氏等によれば本剤の生物学的作用として血糖,血清総コレステリン量および血小板数の増加を来たし,肝臓機能の昂進が認められている。一方痤瘡の成因に関しては夙に諸家により究明されているが村山氏によればこれら機能の変換は痤瘡の成因に重大なる影響を与えることを証明し,また重松,岡元,村山,安藤,齋藤,伊川,永野氏らによる各種ホルモンの影響によるもの,瀧口,橋本(謙)氏らによるビタミンB2の影響によるもののほか小堀,八木氏らによる各種雑菌の附着による等々があり,これらを考察するに痤瘡の原因はなかでも異常代謝に負う点の大なるを認める。
著者は含硫アミノ酸によるこれら機序の変換を考え最近本科外来を訪れた痤瘡患者33例に本剤を用いて認むべき効果を得たのでここに報告する。尋常痤瘡に対する本剤の効果についてはすでに橋本(謙)氏らの発表がある。
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