増刊号 Common Disease 200の治療戦略
皮膚疾患
痤瘡
山本 綾子
1
1新潟大学医学部皮膚科
pp.608-609
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904231
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疾患概念と病態
痤瘡は通称“ニキビ”といわれ,多くは思春期に発症する.本症は軟らかい軟毛を持つ脂腺性毛包(皮脂を多く分泌する)に病変を生じるため,これが存在する顔面,胸背部が好発部位となっている.痤瘡の発疹は,面皰,丘疹,膿疱からなり多彩であるが,初期病変は面皰である.これは,思春期に男性ホルモンの作用により大きく発達した脂腺性毛包が閉塞し,毛包内部が角質塊の貯留により嚢腫状になったものである.面皰に炎症反応が加わると,紅色丘疹や膿疱を生じる.炎症の機序はいまだ不明であるが,毛包内の常在菌であるPropionibactenrium acnesが,炎症反応を惹起すると考える見方が多い.個々の発疹は,しばしば小瘢痕や色素沈着を残して消退するが,次々に新生する.通常,掻痒はない.
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