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バイシリンに依る性病予防について(第1報)
掃部 俊造
1
,
中島 爲夫
1
,
上住 初美
1
1松阪保健所
pp.182-184
発行日 1954年3月1日
Published Date 1954/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201175
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緒言
終戰後ペニシリンは,淋疾に對して偉大なる効果を示した。而して更に,之が予防法についても,内服,筋肉注射或は局所使用等により,着々と其の予防効果を收めた。然し之等の方法は,連日或は頻回なる使用に依らねばならず,業態婦の如く頻繁なる感染に曝露されている者には,永續的な使用を期待し難い。而して性病の予防は感染源の撲滅であり,感染源の約80%を占める業態婦から性病を絶滅せしめる事が,大きな意義を有するものである事には異論がないであろう。其の爲にも,性病予防ワクチンの出現を望んで止まないが,尚期待し得ない現状である。
然し,偶々從來の油性ペニシリシの4倍の期間有効血中濃度を持續するバイシリン(以下「バ」と記載する)が,アメリカのWyeth會社との技術提携により,萬有會社で製造されるに至つた。因みに,「バ」の化學構造式は第1圖の如くであり,使用したのは,水性懸濁液である「バ」ゾルである。
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