研究と資料
酪酸菌に依る魚介類の防腐試驗(第一報)
相磯 和嘉
1
,
藤原 喜久男
1
,
眞銅 參太郎
1
,
中島 正博
1
1千葉醫科大學腐敗研究所
pp.190-194
発行日 1948年2月25日
Published Date 1948/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200256
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緒言
土壤に廣く分布してゐる酪酸菌から選擇した或る菌株を,葡糖澱粉等の炭素源に適當に窒素源を加へて培養すると,所謂酪酸醗酵を起してメジウムは酸性になる。この培養液のpHを4.8-5.6の微酸性に止る樣に調節して置くとこの培養液は鹽酸,硫酸,燐酸等の鑛酸や醋酸,乳酸,酪酸等の低級脂酸の同じpHの液に比較して,各種の腐敗微生物に對し著明に發育阻止作用が強い。この際酪酸菌の生菌を含んで居る事が効果を持續させる上に於て必要の樣である。
この作用は適當の炭素源さへあれば寒天培地の上でも動物の腸管内ででも觀察されるので徴生物間の一つの拮抗現象として理解される。
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