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精索結核の2例
藤田 幸雄
1
,
寺田 稔
1
,
宮村 利雄
2
1金澤大學醫學部皮膚泌尿器科教室
2金澤大學醫學部放射線科教室
pp.397-400
発行日 1953年7月1日
Published Date 1953/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200996
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緒言
副睾丸の結核は我々の日常經驗する所であるが生殖器結核としての原發竈(Genitoprimäre Tu-berculose)が精索に生する場合は極めて稀である。OberndorferはHenhe-Luborsch病理廣本に執筆するに當つて,僅かに1例の手術標本に據つて居る。本邦に於ては石津教授(昭和6年12月,日本泌尿器科學會集談會)の報告を嚆矢とし既往に27例の報告があるに過ぎない。組織學的には結核性靜賑炎を主とするものゝ如く.同時に動脈(A.deferentialis)の病攣も記載(Oberndorf-erされて居る。一般には軟化の傾向少き點皮膚にその相似を求めれば,土肥(慶)橋本雨教授の結節性結核性靜脈炎に近いとされて居る。然し乍ら結節性結核性靜脈炎を,壞疸性丘疹状結核疹やバザン氏硬結性紅斑の如き他の結核性靜脈炎と區別する所見は,前者が比較的大きな可視可觸の靜脈の内腔より發し,炎症の周園に波及すること少き點(橋本小林,皆見,高岡)であつて,精索蔓状靜脈叢の如く小靜脈が,相接して存在する部位に於ける本症の所見が,皮膚に於ける結節性結核性靜脈炎と自ら異ることも亦當然である。精索結核は副睾丸等の結核と異り軟化癒着等の傾向少く且稀であるため,他の比較的多い疾患と誤られ術後組織所見に據つてはじめて診斷ざれる場合も亦少くない。
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