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顏面に於ける色素性母斑の統計的觀察
吉田 邦男
1
1東北大學醫學部皮膚科教室
pp.352-354
発行日 1951年8月1日
Published Date 1951/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200557
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余は年來研索している眼・上褐顎青色母斑(太田)との比較上色素性母斑の集計を志し,特に顏面に於ける色素性母斑と他部のものとに比較検討を加えた。しかし黒子は殆ど凡ての人に見られると云つても過言ではないのに拘らず,それを主訴として來診せるもの以外は殆ど看過している爲にこの統計より除き,又蒙古人斑,青色母斑,脱色素母斑等組識學的,發生學的に異れるものも除いた。
I.色素性母斑の頻度(第1表)10年間に於ける外來皮膚病患者總数24,598名に對し,色素性母斑患者577名で2.35%に當る。之を各年度別に見ると,昭和24年の112名(4.72%)を最高に,最低昭和20年度の21名(0.68%)で,昭和16年以降大平洋戰爭の激烈化に伴ふ社會状勢不安が,美容的觀點を除けば苦痛とてなき本病の治療を乞う數の減少を來さしめ,更に終戰となるに至り精神的安緒と共に再び美容的觀心を抱かしめることになり,之が遂年本病來診患者の増加を來せるものと想到せられ,特に昭和24年度の患者倍加は,戰時中からの雪状炭酸の入手困難による治療中止も,昭和23年秋より再開せし爲のものと思われる。以上の事は岩見氏の統計(皮紀要,46巻,3號,昭和25年5月)にも大體この傾向が見られており,その平均比率1.7%に對し當教室2.35%と相當上廻つて居る。
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