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女子尿道癌について
岡 直友
1
1名古屋市立大學醫學部皮膚泌尿器科教室
pp.348-351
発行日 1951年8月1日
Published Date 1951/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200556
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緒言
尿道の原發性癌は男女ともに少いものであるが,女子に於ては男子に於けるよりその報告例はやゝ多いようである(深井・吉田)。發生部位からいつて,男子尿道癌が尿道海綿體部に多いのに反し女子のそれは外尿道口に來ることが多い(Kara-ki)。外尿道口に發生した癌はそこから腟前庭に向い,尿道前庭癌あるいは外陰部尿道癌といわれる形をとるものが多いが,また尿道に沿つて上行し,且,尿道内に腫瘤を作り,或は時には膀胱粘膜にまで進展することもある。一體,女子性器癌に於て,外陰癌は子宮癌の0.9〜2.9%に過ぎず,また尿道外陰部癌は更にその5%内外に過ぎずといわれる(水野・大岩)ものであり,その發生頻度は低いものであるが,わが國における女子尿道癌ないし尿道前庭癌の報告例は,明治48年の難波氏の第1例以來,既に50例を越え,珍らしい疾患とはいえない。私は昭和22年その追加例を報告し(臨床皮泌誌1巻4號),外陰部結核と鑑別を要する點について述べたが,その後更に原發性尿道癌2例,輕移性尿道癌と考えられるもの2例を經驗し,殊にその3例が比較的若年者に來つた點にかんがみ,症例の追加を行うと共に,癌發生年齡の考察を加えよう。
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