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脂漏性皮膚疾患の統計的觀察
松本 芽
1
1東北大學醫學部皮膚科教室
pp.215-218
発行日 1951年5月1日
Published Date 1951/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200508
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乳幼児の所謂脂漏性濕疹と成人におけるEcz-ema seborrhoicum Unnaとの異同に就ては今尚議論が残されて居り,兩者を同一と見做す學者に於ても乳幼兒に多發する事理に就ては僅に内分泌腺の機能昂進を想定するに過ぎない。當教室五十嵐は發症の季節的關係に於て乳幼兒の夫が夏期著明に減少する事實,從つて汗疹性濕疹と對蹠的な態度を示す事よりFinkelstein, Rostに倣い成人脂漏性濕疹との區別を考慮し,脂考性鱗屑の刺戟及それに對するSäuremantelの阻止作用を考えSimonのアレルギー説に從いEczema infantum seborrhoigenesと稱える事を提唱した。然しながらJadassohn, Moroも認めて居る如く,幼兒の脂漏性濕疹中にもUnnaの脂漏性濕疹と同一のものがある事は當然考えられる所であつて,之を確實に區別する事は至難である。
余は曩にライネル剥脱性紅皮症不全型に於てビタミンB6の卓效を奏するを經驗し,更に乳兒脂漏性濕疹でもB6の效果を認めたので,夫々の病理機序に對し興味を覺えるに至り,東北大學皮膚科外來を訪れた昭和12年より25年4月迄の脂漏性濕疹患者を數え年3歳以下と4歳以上に別ち脂漏性濕疹以外の小兒濕疹を對照とし,更に近縁疾患と目される新生兒皮脂漏,ライネル紅皮症と共に統計的觀察を試みた。但し本統計の一部は五十嵐の統計と重複する事を附記する。
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