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抗アレルギー療法劑の概觀
野口 義圀
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1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.72-75
発行日 1951年2月1日
Published Date 1951/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200463
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近年所謂抗ヒスタミン劑に依ル抗アレルギー療法の進歩には目覺しいものがある。Fourneau et Bovet(1933)の合成した929Fが抗ヒスタミン性を有することが明かにされたのに始まり,その後時を逐うて多くの優秀な抗ヒスタミン劑が製造され,アレルギー性疾患の治療に使用されるに至つた。此の間,本邦に於て矢追教授等は精製痘苗を,緖方(富)教授等はシュウルツマン濾液を研究,これ等の所謂生物學的製劑も亦アレルギー性疾患に對して有效であることが認められた。他方酵素化學の進歩と共にSH系化合物が是亦同じ目的に有効なことが解り,抗アレルギー療法には在來のアレルゲンの排除,或はアレルゲンを以てする脱感治療法と云つた,謂うならば幾分素朴な,併し乍らより根本的なもの以外,實に多種多樣の新治療劑,新治療方式が登場するに至つた。
アレルギーの概念はそれがPirquet(1906)によつて提唱されて以來種々論議されたが,その間多少づゝ異つた各種の反應過程を表現するものとして,Idiosynkrasie, Atopy, Anaphylaxie, Pat-hergie.等の名稱が行われ,それ等の異同の少なからず人を惑わしめるものがある。これに就て三澤教授(1937)はこれ等の名稱を餘り細かく使い分けることに反對されている。
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