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瘙痒の注射治療劑テオフィリン劑に就て
野口 義圀
1
1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.207-212
発行日 1949年5月1日
Published Date 1949/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200188
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1.緒言
瘙痒は多くの皮膚病患者の惱まされるもので,これが治療には今迄各種疾患に於て局所的には固より,全身的にも種々の藥劑・手段が試みられて來たが,未だ充分効果あるものは見出されていない.然るに最近アメリカでこれまで,喘息に静脈注射劑として使用されているAminophyllin(Theophyllin-ethylendiamin)が皮膚疾患の止痒に大いに有効なととが知られるに至つた.それは偶然なことからで,即ちKreutzerが心臓性喘息の1患者にこれを使用したら,折からその患者が罹つていた毒物性皮膚炎の瘙痒が輕快したのが事の起りである.Kreutzerは此の事實をEpsteinに報じた.そしてEpsteinは數例の皮膚症例に之を追試,その有効なるごとを認め,1946年その成績を豫報的に發表している.最近我々はこれを讀み,それに讀いて先づアミノフイリンの邦製品であるジンフィリンを相當數の症例に試み,更にその作用を分析檢討すべく,これに關聯を持つ次に舉げるいくつかの薬劑をも用いてみた.茲に其れ等の結果を報告して,瘙痒注射療法の新らしい試みの報告としたい.
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