--------------------
邦製油蝋ペニシリンの淋疾に對する作用及び淋菌の變化に就いて
渡部 智倶人
1
1九州大學醫學部泌尿器科教室
pp.474-476
発行日 1950年11月1日
Published Date 1950/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200426
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
ペニシリン、(以下ペと略す)は1928年英人フレミングが葡萄状球菌を研究している際に發見し,1940年チェーンが廿日鼠で試みた實驗報告に次いで,臨床實驗では1941年アブラハムが初めて報告。油蝋ペは1942年CodeがHistamin,Desox-ycorteroneacetate,の生體内作用時間を長が引かせる爲これらを種々の油や蜜蝋中に混じて使用成功したのにヒントを得て,1945年米人Romans-ky, Rittmanが落花生油中に4.0%の割に蜜蝋を混じ,其の1cc中にペ10萬o.uを無菌的に懸濁させたものを用い,37℃で6ヵ月間保つてもその力價に變動がなかつたと言う。續いてkirbyはそれより高度で4.8%の蜜蝋を含有する落花生油中1ccにペ3萬o.u.位混じたものを用いている。1946年Romanskyは油蝋ペを淋疾331例に30萬o u.用い98%の治癒率を示した。最近はペが1mg中900o.u.以上を含み,1cc中30萬o.u.も含有され有效期間は15℃以下で18カ月と言う。血液中のペ有效量に付いてみると,Kirby, Martinは血液1cc中ペ(水溶性)が0.02 o.u.以上の場合は,溶血性連鎖状球菌の發育を阻止し,Leeweは血清1cc中0.012 o.u.のペ量で淋菌,肺炎菌,溶血性連鎖状球菌の發育を阻止すると言い,市川,川井氏は血液1cc中0.15 o.u.で淋菌を消失せしめている。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.