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ペニシリンによる女子淋疾治驗
小原 武
1
1北海道帝國大學皮膚科泌尿器科教室
pp.36-37
発行日 1946年11月10日
Published Date 1946/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200009
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曾てスルフオンアミド劑の出現によつて一轉した淋疾療法が,茲にペニシリンの發見によつて再轉せんとするに至つたが,これに關する細かい外國の文獻が目下の情勢では容易に入手出來ないのが,遺憾である。で,茲では細い前置きは拔きにして,偶々入手し得られたニューヨークHeyden化學會社のペニシリン曹達を余は昨年來北海道廳立札幌治療院に於て業態婦180例の淋疾に試用する機會を得たので,その成績を茲に記述しようと思ふ。行つた方法には種々な關係から杜撰の點も少くないが,効果あ大體はこれによつて窺知し得られたと思ふ。ペニシリンの一般に就いては既に我國にも多くの記載があるから一切觸れない。
治療した對象は殆ど總て子宮頸管淋,極く少數には淋毒性腟炎を合併した一般に極めて慢性な淋疾のみで,治療は總て外來的に行ひ,少くとも本實驗中は局所療法その他の療法は一切行はなかつた。ペニシリンは10万オツクスフオード單位入のアンプレ内の結晶を滅菌蒸溜水で溶解し,第1群には1囘3万單位宛,第2群には1囘5万單位宛共に2時間の間隔を置き4囘に亘つて總て臀筋内に注射した。つまり總量にすると第1群には12万單位,第2群には20万單位を用ひたのである。而して治療前に豫め檢査した子宮外口或は腟壁分泌物の顯微鏡的所見竝に自覺的症状を治療後のそれと比較對比して効果判定を行つた。
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