特集 性病
淋疾のペニシリン療法
稻田 務
1
1京都大學醫學部泌尿器科
pp.636-640
発行日 1952年11月10日
Published Date 1952/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200853
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I.緒言
白檀油の内服と尿道局所療法とを主眼とする長年の淋疾治療法は1935年DomagkのSulfonamide劑發見以來劃期的變化を來たし,幾多の優秀なSulfa劑の出現によつて從來の治療法は殆んどその影を波するに至つた。然るに1928年英國人Fle mingによつて發見せられていたPenicillin (以下ペと記す)が1939年頃よりFleming,Chain,その他によつて改めて本格的に研究せられ,淋疾に對しては特に有效に作用する事が注目せられて以來は,サルフア劑よりも更に有力なるものとして使用せられるに至り,淋疾の治療法は更に格段の進歩を遂げ,淋疾の病像さえも一變するに至つた。その後に於ても,Streptomydin,Terramycin,Aureomycin,Chloromycetin等の抗生物質が發見せられ,之らは何れも淋疾に對する極めて有力な藥劑と認められているが,然し諸般の理由によつてペは現今に於ける第一の治淋劑とせれている。茲には淋疾のペ療法に就て聊か述べてみようと思う。
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