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Paravitaminosis Bの皮膚症例に就て—肝臓製劑ナルビン"帝臓"及びニベナール"第一"の治驗
安田 利顯
1
,
高野 三郎
1
,
田中 晃
1
1都立駒込病院皮膚科泌尿器科
pp.398-401
発行日 1950年10月1日
Published Date 1950/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200403
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皮膚疾患に於ても亦その治療の理想は,疾患の現象—この場合には皮膚病變と其原因との關係を明らかにし,以つて原因的治療を施すにある。併し,皮膚疾患には現在なお原因不明のものが少くないとゝもに,1疾患の原因は必ずしも一つとは限らず,多因子性(polyetiologic)と見做すべきものも多く,殊に所謂反應性皮膚疾患に於て其の感を深くする。
一般に皮膚病變の成立機轉を説くに,これを之の疾患の原因に直結させす,原因によつて惹起され,皮膚病變の出現に先行する一定の「皮膚の異常状態」,或は「準備状態」を假定するのが好都合のことがある。それは謂わば皮膚病變の基盤(base)をなすもので,preclinical stageとも呼ぶべく,一定の皮膚症状はその上に立つて發生するものである。例えば,ビタミン缺乏症では各ビタミンに特有の皮膚症状があるが,夫等は原因,ここでは一定のビタミンの缺乏と直結せず,そのビタミンの缺乏により惹起された「皮膚の異常状態」,或は「準備状態」を基盤として發生,展開すると考えてよい。
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