--------------------
前立腺癌の根治手術の新傾向,特に腹部根治的前立腺全剔除術(Abdominal radical total prostatectomy)の提唱
楠 隆光
1
1新潟大學
pp.393-397
発行日 1950年10月1日
Published Date 1950/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200402
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
臨床的及び病理學的に證明された前立腺癌の場合に,出來れば前立腺被膜をも含めた全前立腺組織と共に精嚢腺をも剔除する所謂前立腺全剔除術total prostatectomyを斷行すべきは,最早異論のないことである。更に最近のSmith and Woodruff(1950)の報告によれば,1)前立腺肥大症と考えられて普通の前立腺剔除術によつて剔除された前立腺組織には15〜20%に組織學的に癌腫が發見される,及び 2)前立腺剔除術で残した前立腺破膜部に屡々あとになつて癌腫の發生を見る(彼等の経驗した648前立腺癌例の6%に當る)と言う譯で,前立腺肥大症の場合にも特定の症例に於ては,特に硬い結節のある癌腫の疑いの濃い場合には,前立腺全剔除術を斷行した方が安全であると言う結論に到達する。かく考えて來ると前立腺全剔除術を實施すべさ場合は少なくないのである。そこで私は茲に,前立腺癌及びその疑わしい場合の前立腺全剔除術に見られている2つの新傾向に就て述べて見る。新傾向とは 1)前立腺全剔除術とantiandrogenic therapyの併用,及び 2)前立腺全剔除術式の變化の2つである。
Copyright © 1950, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.