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泌尿器科領域に於ける興味ある梅毒症例について(その1)
今北 力
1
,
佐野 榮春
1
,
細田 壽郎
1
,
村田 良介
1
1大阪大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.323-326
発行日 1950年8月1日
Published Date 1950/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200381
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緒言
梅毒は皮膚を侵かすのみならず,其攣化は亦内臓にも及ぶ.近年性病就中梅毒患者の増加と共に,殊に我々專門醫は尿路梅毒を等閑視し得ない現状である。
抑々腎臓及び膀胱の梅毒な皮膚梅毒と同様,第1,第2及び第3期の病状を區別し得るが,之の中第1期の初期硬結はその解剖學的位置よりして非常に稀で,現在迄Ricord (1856)に依つて記載された膀胱の侵蝕性初期硬結が唯1例あるだけである.その大部分は第3期のゴム腫に屬するもので,第2期病攣も亦比較的少い.我々は最近第2期梅毒と思われる尿路梅毒の2例(第1例は咽頭梅毒を伴つた膀胱粘膜の第2期疹,第2例は皮膚に多發性環状丘疹性梅毒疹を伴つた第2期梅毒性腎炎及び潰瘍性膀胱炎)及び副畢丸梅毒例(第3期膀胱梅毒に腎及び副睾丸の病變を作つた稀有な症例)を經驗したので,それらを報告すると共に,第2期尿路梅毒並に副睾丸梅毒について總括的記述を試みたいと思う.
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