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皮膚科學に於けるアレルギー
伊藤 實
1
1東北大學
pp.146-150
発行日 1949年4月1日
Published Date 1949/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200172
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アレルギーに對して終始懷疑的態度を持したAschoffも,皮膚科領城にはそれに該當する疾患が多いと述べているが,pirquetがアレルギー理念に到達せる道程に於でも,種痘に關する實驗が重要な基礎をなしており,千葉の佐藤教室の業績は更に之を深く追究したもので,貴重な資料を提示している.從つて皮膚科學者Urbachが廣汎な著書を成した事も充分納得される.然しアレルギー學40年の歴史は短く,客觀的證據がなお乏しいにも拘らず,徒らに假説の輩出や,新術語,分類の提唱は寧ろ學説の基礎がためを阻害した憾があり,また一徹なアレルギー論者は蕁麻疹や喘息等を悉く歸一して,物理的刺戟や精神神經的影響によるものさえもアレルギー性に編屬せしめようと企圖としたが,是は素朴な抗原抗體反應では到底解読しがたく,反つてアレルギー學の脆弱性を露呈する結果となつた.偶々RössleのPathergie提唱は叙上の不備を補充する有力な學説となり,Urbach等が直に採つて自己の分類に適用したが,餘り總花式に諸説を編入したので,解つた樣な解らないものになつてしまつた.
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