Ⅱ臨牀實驗
「トラコーマ」症状の「アレルギー」學説による解説
弓削 經一
1
1京都府大眼科
pp.234-237
発行日 1948年12月20日
Published Date 1948/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200286
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「トラコーマ」の自然感染及び其後の經過が如何なるものであらうかと云ふ事を明かにする爲,私は昭和15年以來,京都府下に於て一區劃をなして存する或濃厚感染地の小學校兒童に就て,觀察を續けて來たのであるが「トラコーマ」の臨床像に就て,一つの纒まりを得たと信ずるので,昨年來其整理にかゝつた。研究の動機は主として東大に於て行はれた人體接種實驗の結果が,其儘自然感染並に經過に適用せられる筈はないと云ふ推定を證明するにあつたが,結果に於ては,今日,却つて,人體接種實驗が,よく自然感染の場合に適合する事を證明する状態となつてしまつた。殊に三井(昭14)の初生兒に於ける接種「トラコーマ」の經過は期せずして,私の得た成績と一致した。
本年の日本眼科學會總會に於て,私は,慢性「トラコーマ」即ち在來の云ひ方では單に「トラコーマ」は,急性「トラコーマ」に對する特殊な結膜反應像であつて,急性「トラコーマ」の慢性連續ではない事を述べた。
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