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DDT(Dichloro-diphenil-trichloretan)粉劑撒布による皮膚變化
大森 淸一
1
,
仲野 忠夫
1
1東京警察病院皮膚科泌尿器科
pp.97-98
発行日 1947年4月1日
Published Date 1947/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200024
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緒言
終戰以來我々の周團は,曾つてなきまで,アメリカ醫學の素晴らしい光景で埋つてゐる。殊に先頃まで猛威を逞しくじた發疹チフスにあつてはDDTによる蝨の驅除が撤底して行はれ3歳の童兒と雖もその名を諳んするに至つてゐる。DDTはナフサ液又はケロシン油等に溶解して液状に於ても利用されるが,一方では滑石末に混じて粉劑の形に於ても用ひられてゐる。殊に最近の我國に於ては後者の粉劑型が専ら用ひられてゐる様である。
アメリカの發表によればDDTによる副作用は殆ど全くないが,若も驅蟲の意味で用ひられて皮膚症状などを起す時には,それは溶劑たるケロシン油等によるものと解釋されてゐる,我々は最近本劑の粉劑型のものを撒布された後に皮膚症状を起したと考へられる3例を得たのでそれに施行した諸檢査成績と共にこれ等を發表し大方の批判を仰ぎたい。
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