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後期レジデントや若手循環器医にとって,心電図は日常臨床のなかで最も係わることが多い検査の一つです.しかし,医学生の頃から何度も講義や勉強会で習ったはずの心電図ですが,十分に判読できる若手医師は意外と少ないのが実情です.循環器を専門とするベテラン医師は,日々の臨床経験に基づいて,心電図所見を瞬時に理解し診療に役立たせることができますが,若手循環器医となればそうはいきません.最近は,心電図の自動解析器が一般診療においても普及しており,心電図を不得意とする医師でも心電図診断に困らなくなりました.しかし,心電図自動解析器も時として読み間違えることがありますし,「医師の確認が必要」というコメントが表示されることもよくあります.このような場合は,心電図についてある程度の知識を備えていなければ対応できません.
企画者は,これまで心電図に関する書籍を多く手がけてきました.活用度の高い書物にするには,ターゲットにした読者の力量あるいは目線に応じた内容に組み立てることが重要です.執筆者の選定においては,普段から若い医師やナースあるいはコメディカルに心電図・不整脈をわかりやすく教えているこの領域のエキスパートにご依頼しました.読者のオーベン的な立場で,読者が知りたかったことや聞きたかったことを漏れなく執筆していただいております.また,それぞれの章のなかで内容に凹凸がないように一定の項目を設定し,それに沿って記載していただくことで理解しやすくなっています.構成としては,「Ⅰ.心電図検査の基本と活用法—活用するうえでのノウハウを知る」,「Ⅱ.心電図の読み方と見逃してはならない所見—正常と異常とを見極める」,「Ⅲ.不整脈の心電図の読み方のポイントと治療方針」,「Ⅳ.知っておくべき疾患・症候群の心電図の読み方のポイント」と,比較的オーソドックスな章立てとしました.そのなかで,見逃してはならない波形の判読のポイントや,直ちに治療する必要はない波形を見極めのコツなどを解説していただきました.古い教科書ではあまり触れられていない最近のトピックスについても随所で解説しています.まさに臨場感あふれる心電図診断の特集になったと思います.
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