特集 進行期肺癌治癒への道—がんゲノム医療と免疫プレシジョン医療の接点
総論
肺癌における免疫学的バイオマーカーの現状と将来
北野 滋久
1
1がん研究有明病院先端医療開発センターがん免疫治療開発部
pp.320-324
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200367
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Point
・現在,各種癌で免疫チェックポイント阻害薬の適応の拡大が進んでいるが,単剤で臨床効果を認める患者は一部に限られ,また,薬剤費も高額であることから,効果予測バイオマーカーの開発が重要な臨床的課題となっている.
・現時点で,肺癌領域における免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーとして実地臨床の患者選択指標として実用化されているのは,腫瘍組織における免疫染色でのPD-L1発現にとどまる.
・現在,腫瘍微小環境,末梢血,便検体などで,各種免疫解析,遺伝子解析手法など様々なアプローチでバイオマーカーの探索研究が行われている.
・癌と宿主免疫系が空間的・時間的に数多の因子が動的に変化して複雑なネットワークを形成する環境においては,単一のバイオマーカーで治療効果を予測することは困難であると考えられる.将来的には,腫瘍の性質や介入する治療法に応じて複数のバイオマーカーを組み合わせたスコアリングシステムの開発が検討されよう.
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