Japanese
English
今月の主題 脳卒中
話題
虚血性脳障害に対する特異的なバイオマーカーの現状
Current status of singular biomarker for ischemic brain damage
野口 将
1
,
宮下 亮一
2
,
芝崎 太
3
,
内野 博之
1
Masashi NOGUCHI
1
,
Ryouichi MIYASHITA
2
,
Futoshi SHIBASAKI
3
,
Hiroyuki UCHINO
1
1東京医科大学麻酔科学講座
2東京医科大学麻酔科学講座大学院医学研究科
3(財)東京都医学研究機構・東京都臨床医学総合研究所がん生活習慣病プロジェクト
キーワード:
虚血性脳障害
,
バイオマーカー
,
プロテオミクス
Keyword:
虚血性脳障害
,
バイオマーカー
,
プロテオミクス
pp.1553-1560
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102477
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1 . はじめに
人ゲノム解読終了後に研究者の標的は蛋白へと移ってきている.プロテオームという言葉を耳にしたことがある方も少なくないと思う.プロテオームとは“蛋白質の集団”を意味する.すなわち,細胞がある特定の条件下に置かれたときに,細胞内に存在する全蛋白質を表す.ゲノムは単なる情報にすぎず,この情報に基づいて酵素やホルモン,その受容体,遺伝子の働きを調節する因子など様々な蛋白質がつくられて生命活動に必要な機能が発揮できるようになる.このように,細胞の活動に必要な全蛋白質をひとまとめにして捉えた概念がプロテオームであり,蛋白質の構造と機能を網羅的に解析し研究することを“プロテオミクス”と呼ぶ.現在,プロテオーム解析技術は加速し,プロテオミクスの得意とする細胞内蛋白質の網羅的な発現変動,局在,翻訳修飾,相互作用解析などに関しての知見が急速に増えてきている.
脳虚血障害とバイオマーカーの関係に焦点を当てて現況を概説し,バイオマーカーを捕捉する新規の技術について触れる.
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