特集 肺高血圧症 ガイドラインとニース会議提言を紐解く
Ⅰ.肺高血圧症の定義の変更,病態,診断を紐解く
肺動脈性肺高血圧症の病態,分子病態と治療の展望
中村 一文
1
,
江尻 健太郎
1
,
赤木 達
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学
pp.570-573
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200298
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Point
・肺動脈性肺高血圧症(PAH)の病態の主体は肺動脈内腔の狭窄で,主に血管収縮と血管リモデリングにより生じる.
・PAHの治療は収縮抑制による肺血管拡張だけでなく,肺血管リモデリングの改善も目指していく必要がある.
・病理学的には近年,plexiform lesion(叢状病変)の機序として気管支動脈・肺動脈・肺静脈の微小血管のanastomoses(吻合)が挙げられている.
・細胞生物学的には平滑筋の過剰増殖に対してオラパリブを用いた臨床試験などが始まっている.
・免疫・炎症の観点からはリツキシマブやトシリズマブを用いた臨床試験も始まっている.
・分子生物学的には,エピジェネティクスや代謝異常の観点から得られた知見も集まっており,治療に応用されつつある.
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