特集 肺癌—最新の治療戦略と失敗しないための秘訣
Ⅰ.総論
肺癌治療のオーバービュー
高橋 和久
1
1順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学
pp.542-549
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200075
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肺癌の治療方針
肺癌は現在日本人において癌死の第1位であり,今後,人口の高齢化に伴いその数は益々増加するものと推測される.またCTの普及に伴い早期症例が増加しているが,今なお診断時に手術可能な症例は40%である.肺癌の治療方針を決定するうえで重要なことは,1)臨床病期,2)組織型,3)全身状態(performance status;PS),4)年齢,5)併存症である.基本的には臨床病期と組織型を基に標準的治療を選択するが,PS,年齢,併存症により標準的治療を行えないことが多々ある.
肺癌のTNM分類を図1,組織型別,臨床病期別の治療方針を図2に示す.肺癌の治療では多くの病期で化学療法が行われる.表1に肺癌治療で頻用される抗癌剤(殺細胞薬),分子標的治療薬,免疫チェックポイント阻害薬とレジメンを示す.進行非小細胞肺癌では,組織型の確定後に上皮成長因子受容体(EGFR)と未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)およびROS-1遺伝子検査,PD-L1蛋白発現検査を行って,薬剤選択が行われる(図3A).
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