扉
「脳神経外科学」と「救命救急医学」
大和田 隆
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1北里大学医学部救命救急医学
pp.681-682
発行日 2002年7月10日
Published Date 2002/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902232
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本大学に教育・研究単位(いわゆる講座)として救命救急医学が創設されたのは1986年(昭和61年)である.本邦では医学部として第4番目であった.救急医療の必要性は,当時,行政的にも市民の中でも強く叫ばれており,大学病院や市中病院での救急センターの設立の機運は高まっていた.(救命)救急センターの運営方法には意見がいろいろあり,完全な専従・専任スタッフを擁する「独立方式」か,あるいは既存の診療科のスタッフが兼務する形の(救命)救急センターを維持運営する「貸屋方式」のどちらかを選択するかであった.「独立方式」はスタッフが志を一つにして,救急専用のベッドを持ち,チーム医療がやり易い利点はある.しかし,人件費が嵩むなど病院運営上の問題点も同時にある.「貸屋方式」は兼務体制であるための経済的利点は考えられるが,センター長の適格性,チームワークの統一性,特に既存の診療科間との壁の厚さが問題点としてあった.勿論,大学で一つの講座,すなわち教育・研究単位として存在するには診療部門である(救命)救急センターは「独立方式」の体制が必須である.
次の問題として,では(救命)救急医学の学問体系は何か?という問題提起がある.侵襲学であるとか集中医学である,さらには各科の境界領域の学問であるとかが語られた.しかし,机上での枠決めに意味はない.
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