報告記
第3回国際定位的放射線外科学会
大江 千廣
1
1群馬大学脳神経外科
pp.966-967
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901475
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国際定位的放射線外科学会(ISRS)の第3回学術集会は6月25-28日の四日間(実質三日),スペインのマドリッドで行われた,第1回はストックホルム(1991年),第2回はボストン(1994年)で行われたものの続きである,私は第2回は欠席したが,今回の印象のまとめを先に述べると,非常に参加者がふえて内容も多彩になりつつあること,しかし会長のLindquist,前会長のLunsfordのL-L金太郎飴的な色彩が濃厚であったこと,それに全体としてかなり豊富な資金で運営されたと言うことである.
学会は8時から9時半まで朝食セミナー,4会場にわかれて色々なテーマでかなり実質的な発表と討論が行われた.私はその中で,一つずつ「AVMに対する放射線外科後の出血の危険性」,「実験的放射線外科」,「聴神経腫瘍,分割照射か否か」,に出席した.AVMの自然経過では容積の小さいものに出血の危険性が大であるとされているが,照射後は大きなAVMで年齢,部位などに関係なく出血の危険性が大であることが示された.AVMの一部が残りやすく,その部分への血流に対する負担が大きくなることが主な原因と説明された.実験的放射線外科では生物学的効果が聞けるのでは,と期待していたがこれまでに発表されている動物実験の範囲を出なかった.色々な神経要因にどのような経過で放射線の作用が及ぶのかは,まだ不明のようだ.
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