読者からの手紙
FisherのCT分類をめぐって
井出 冬章
1
,
臼井 雅昭
2
1都立墨東病院脳神経外科
2虎の門病院脳神経外科
pp.672
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901425
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Fisherによるくも膜下出血のCT分類1)は今までに広く使用されているが,特にgroup 4については誤って解釈され使用されていることが少なくない.
Group 4は“diffuse or no subarachnoid blood,butwith intracerebral or intraventricular clots”と表現される群である.原論文を見れば明らかだが,Fisherはこの“diffuse”という単語を,group 2でも使っているように,「(厚い血腫を形成することなく)拡散した」出血を表現するのに用いている.したがって,group 4は「くも膜下出血は拡散しているか認められないが,脳内あるいは脳室内血腫を伴う」群となる.したがって,脳内出血や脳室内出血があっても,“diffuse”と言えない厚いくも膜下出血があればgroup 4ではなくgroup 3である.すなわち,group 4はgroup 1,2のsubgroupであると考えてもよい.実際,原論文では,厚いくも膜下出血に前頭葉内血腫を伴った症例,第3,第4脳室の鋳型状血腫を伴った症例など全てgroup 3である.本来group 3とすべき症例が脳内出血や脳室内出血があるためにgroup4と分類されていることが少なからずあるのを筆者らは経験している.
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