読者からの手紙
「神経内視鏡(軟性)による脳神経外科手術」について 瀧本論文を読んで/「青木信彦氏のletter」に対して
青木 信彦
1
,
瀧本 洋司
2
,
早川 徹
3
1都立大久保病院脳神経外科
2市立吹田市民病院脳神経外科
3大阪大学脳神経外科
pp.647
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901058
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最近の内視鏡の進歩には目をみはるものがあり,貴誌における報告「瀧本洋治,早川徹:神経内視鏡(軟性)による脳神経外科手術.脳外23:111-116,1995」を興味深く勉強させていただきました.たしかに,このように比較的容易に脳外科手術が可能となりますと,逆に安易に手術適応としてしまう危険もあるのではないかと危惧いたしますのは小生だけでありましょうか.
著者らは過去2年間に41例の内視鏡下手術を行ったとのことですが,その対象となった主要な疾患(?)として9例の透明中隔嚢胞について述べています.そして症候性透明中隔嚢胞開放術は初心者に手頃な対象であるとしています.小生もこれまでこの透明中隔嚢胞に注目してまいりましたが,この病態(というより,むしろ一般的にはnormal variation)はかなり多くみられるものであり,満期新生児では82%,成人でも10%にみられるとの報告もあります2).しかしこれが症候性となることはきわめてまれであり,残念ながら小生は最近の症候性透明中隔嚢胞の論文を入手できませんでしたが,1986年に渉猟したときには26例であり,CT出現以後でも3例のみでありました1).しかもそれらをよくみますと本当にその症状(きわめて多彩)が透明中隔嚢胞によるものであるかどうか,はなはだ疑問なものも少なくありませんでした.
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