扉
新入医学生は本を読むか
和賀 志郎
1
1三重大学脳神経外科
pp.997-998
発行日 1994年11月10日
Published Date 1994/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900925
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新入学の医学部学生に対する「医学概論」の講義が行われるようになってから,もう10年以上になるだろう.約20回あるコースの1コマ(来年から90分,今年まで100分)を受け持つだけではあるが,いろいろ工夫はしてきたつもりである.果たしてどんな効果があったのだろう?いろいろな工夫のなかには,LjunggrenのThe Case ofGeorge Gershwinでてんかんと脳腫瘍,Clowardの真珠湾攻撃の際のQueen's Hos—pitalの忙しさ,KahhのJournal of A Neurosurgeonにおける一般外科,脳神経外科の卒後教育,などを用いて,医学に親しみ,少しは神経科学の香りを嗅いで,あわよくば医学英語に少しは慣れることを期待したこともあった.少し新入生には難しすぎたのではないか,学生の自主性を無視したのではとは思っていた.なにせ第一,ガーシュインWho?の世代である.2年程前から新人生に対する外来,病棟における初期体験実習が始まっているので,今年は新しい試みを行ってみた.
医学概論の与えられた課題は「脳死とその現況」であったので,講義は日本における脳死判定の歴史を極く簡単に述べるにとどめ,推薦図書を指定して400-800字の感想文を書かせることにした.6月に出題して9月提出であるから期間は十分である.推薦図書は1.「脳の話」(時実利彦氏,岩波新書) 2.「ドキュメント臓器移植」(マークダウイ氏,平凡社) 3.「生きている心臓」(加賀乙彦氏,講談社)の3冊であり,どれを選ぼうが学生の自由とした.
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