特集 若者の精神保健①
新入社員のメンタルヘルスの課題と教育
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.378-384
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102734
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はじめに
近年,産業保健においてメンタルヘルスは極めて重要になってきている.内科医として嘱託産業医を行う筆者の場合でも,日常の産業医業務の約7割が面談や復職委員会などメンタルヘルス関連の対応に費やされており,約3割で衛生委員会,職場巡視,健診事後面談,ヘルスプロモーション活動などを行っている現状である.
またメンタルヘルスのケース対応では「真面目で自責念慮が強い,休ませることが肝要で,薬物療法が著効し,励ましてはいけない」と言われたメランコリー親和型(いわゆる従来型)うつより,「職場不適応があり,プライベートでは元気,他責的で,薬物療法の効果が少ない」と言われるディスチミア親和型(いわゆる新型)うつを含む困難事例で苦労することが多く,多くの場合このような表現型をとるのは,20~30歳代の若年者や入社後のキャリアがそれほど長くない者に多い印象がある.本稿では,非精神科専門医である嘱託産業医の立場で,新入社員のメンタルヘルスの現状と社員教育を含む対策について考えてみたい.
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