扉
Image Trainingと脳神経外科
谷 栄一
1
1兵庫医科大学脳神経外科
pp.929-930
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900515
- 有料閲覧
- 文献概要
バルセロナのオリンピックが近づくにつれ,オリンピック選手が次々と選考されている.勿論オリンピック選手になるためには,平生の厳しい訓練の積み重ねが必要であるが,これに加えて,選考会でいかに平生の実力が発揮出来るかが問題となる.この対策の1つとしてimage trainingがあげられている.すなわち,startからfinishまで,どの様に競技内容を最善にもって行くか頭で繰返しimageを浮べる訓練であるという.このimage trainingの内容が選考会またはオリンピックの場で実現出来るか否かが成功の1つの鍵であるという.
このimage trainingはスポーツだけに必要なものでなく,科学,芸術その他人間の活動するすべての分野で必要と考えられる.成功の秘訣はオリンピック選手のように,蓄積された知識と体験を基に種々のimage trainingを駆使して事に当ることである.通常はimag trainingを繰返しても,何も新しいことが浮ばないことが多いが,それでも物事を円滑に処する手助けとはなる.このimage trainingの果にすぐれたinspirationが得られれば大したものである.科学の粋といわれる数学の領域でも,世界の5指に入る数学者の業績はこのinspirationの結果生れた産物であり,世界屈指の芸術家の作品は脳に浮んだinspirationが投影された産物であると聴いたことがある.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.