綜説
医学生のMedico-social Trainingについて
東京大学医学部公衆衛生学教室
pp.15-18
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201893
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東京大学医学部においては医療保障制度の講議に附随して学生に社会的に問題を有する患者についてのケースワークを課している。このようなケースワークは英米の医科大学においては一般に行われ,社会医学や公衆衛生の教育に顕著な効果を挙げているのであるが,わが国ではあまり一般的でない。
わが国の医学はドイツの流れをくむもので,いわゆる生物学的医学の面では優れているが,患者の社会的環境に眼を転ずることが少いため,医学的興味からのみ診療が行われ,患者の福祉は往々にして第二義的になつてしまう傾向が少くない。これはわが国の医学教育の欠陥にその源を求めることができるのであつて,学生時代から患者を社会生活を営む人間として理解する訓練に欠けているためであると思われる。
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