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総説
わが国における地域脳卒中登録からみた脳卒中の現状—滋賀県脳卒中登録より
The Current Epidemiological Status of Stroke Based on Population-Based Stroke Registry:Shiga Stroke Registry
高嶋 直敬
1
,
喜多 義邦
2
,
三浦 克之
1,3
,
野崎 和彦
3,4
Naoyuki TAKASHIMA
1
,
Yoshikuni KITA
2
,
Katsuyuki MIURA
1,3
,
Kazuhiko NOZAKI
3,4
1滋賀医科大学医学部社会医学講座公衆衛生学部門
2敦賀市立看護大学
3滋賀医科大学アジア疫学研究センター
4滋賀医科大学医学部脳神経外科学講座
1Department of Public Health, Shiga University of Medical Science
2Tsuruga Nursing University
3Center for Epidemiologic Research in Asia, Shiga University of Medical Science
4Department of Neurosurgery, Shiga University of Medical Science
キーワード:
stroke
,
registry
,
population-based
,
prognosis
Keyword:
stroke
,
registry
,
population-based
,
prognosis
pp.297-307
発行日 2019年3月10日
Published Date 2019/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203935
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Ⅰ.はじめに
脳卒中の発症の実態(発症率など)を明らかにするためには,特定の集団内で発症した脳卒中を把握する地域疾患登録を行う必要がある.発症率などを報告しているわが国の研究としては,久山研究などのコホート研究や,地域脳卒中登録として秋田県での研究や喜多らが実施している高島循環器疾患登録研究などがある.
地域脳卒中登録においては,特定の集団内で発症した脳卒中をなるべく漏れがないように登録する必要があり,その集団が大規模であるほど,悉皆性を高くすることは困難となり,非常に多くの労力を要する.また,脳卒中登録に関わる医療機関が多いほど,脳卒中の診断基準にばらつきが生じ,正確に把握することが困難となる.筆者らは,脳卒中発症についてなるべく同じ診断基準で定義することと,悉皆性を十分に担保することを目的として,悉皆性の高い地域脳卒中登録である高島循環器疾患登録の手法をもとにして,2012年から滋賀県脳卒中登録を開始した.本稿では,近年の脳卒中発症の実態を明らかにすることができた滋賀県脳卒中登録の成果を中心として概説する.
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