特集 医療情報の利活用
滋賀県における全県下脳卒中登録の構築と今後の課題
高嶋 直敬
1
,
三浦 克之
1,2
,
喜多 義邦
1,3
,
野崎 和彦
4
1滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門
2滋賀医科大学アジア疫学研究センター
3敦賀市立看護大学
4滋賀医科大学脳神経外科学講座
pp.593-597
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208253
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地域における脳卒中発症の実態を明らかにするためには受診する可能性のある脳卒中診療医療機関を網羅する登録を実施する必要がある.地域脳卒中登録としては1985〜87年にWHO Monitoring of Trends and Determinants in Cardiovascular Disease(MONICA)プロジェクト1)が国際的に実施され,それと比較可能な日本の心筋梗塞,脳卒中の発症率,致命率,死亡率を把握する調査として1989年から1992年にかけて国内の複数の地域で実施された2〜4).しかし,これらの地域の多くではその後継続して発症率の調査が行われていない.現在,都道府県単位の脳卒中登録は秋田県の脳卒中発症者通報事業など10府県程度が実施しているが,ほとんどが届出制による登録である.また地域によっては悉皆性を向上させるために届出率の向上への取り組みと出張採録などの補充登録を組み合わせるなどの取り組みが行われている.
そうした中,滋賀県では高い悉皆性を目指した脳卒中登録事業が2012年度から滋賀医科大学を核として開始された.本稿では滋賀県脳卒中登録事業構築の経緯と現状を述べ,全国規模の登録への課題について検討する.
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