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本号の「扉」には,山形 専先生の「これからの若者の生き方を考える—VUCA時代をどう乗り越えるか—」と題する原稿が寄せられている.VUCA,すなわちVolatility(激動),Uncertainty(不確実),Complexity(複雑),Ambiguity(不透明)の時代を迎え,旧来の伝統的ともいえる概念は瞬時のうちに新たなものに置き換わる可能性が生じてきた.人工知能(AI),ロボットの出現によって,医療・医学ばかりでなく社会全体に大きな変革が起ころうとしているが,これが人の生き方にまで大きな影響を及ぼすのは,ある意味必然といえる.原子力の出現によりもたらされた第3次産業革命であるが,今はまさにAI,ロボットなどが主役の第4次産業革命の時代と言えよう.この時代にわれわれ脳神経外科医は何をなすべきなのか,技術の進歩とそれに伴う人々の意識の変化に応じて,脳神経外科の診療,研究,教育も変わっていく必要がある.ただ一方で,変えることなく次の世代に伝えなくてはならないこともあるはずである.若干沈鬱な気持ちにもなったが,このような問題を考えさせられる「扉」であった.
吾郷哲朗先生による総説「脳血管障害外来患者の診療に役立つ高血圧症の管理」は,内科医の立場から脳血管障害患者の血圧管理について有用な情報を示してくれている.まさに,明日の臨床に役立つ読者必読の総説といえる.また,本号から「脳神経外科コントロバーシー2019」が掲載されることになった.今回は,てんかん外科,脳深部刺激,乳児期水頭症,くも膜囊胞に関するコントロバーシーを,それぞれのエキスパートの先生にまとめていただいた.今後,他の領域や疾患について3回にわたって連載予定である.本企画は,専門医試験前の若い先生にも有用であるが,年長の脳神経外科医にとっても,自分の専門外の領域で,今,何がコントロバーシーなのかを知ることができるよい機会を提供するものと思われる.
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