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編集後記
新井 一
pp.90
発行日 2018年1月10日
Published Date 2018/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203681
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本号の「扉」には,岩立康男先生から「人工知能と脳神経外科」と題してご寄稿いただいた.人工知能(AI)の出現によって医療・医学はどのように変化するのか予測不可能な部分もあるが,米国では将来AIに取って代わられるという理由から,放射線科への志望者が既に減少していると伝えられている.AIによる深層学習がどのようなプロセスで完遂されるのかは大変に興味のあるところであるが,専門家に聞くと,深層学習のアルゴリズムをわれわれが知ることはできないとのことである.何となく不気味な感覚に囚われるが,これからはAIなしでは社会のさまざまな機能が立ち行かなくなるのも事実である.岩立先生がおっしゃるように,これを使いこなすわれわれが,その感性を磨く必要があることを認識しなくてはならない.
「機能的脳神経外科最新の動向」と題する連載欄には,前澤聡先生によるEEG-fMRIを用いた焦点診断についての総説が掲載されている.磁場環境でのEEG計測という課題の解決が必要となるが,時間分解能の高いEEGと空間分解能の高いMRIとの融合は,てんかん焦点の診断に新たな展開をもたらすものと期待される.「教訓的症例に学ぶシリーズ」では,頭部外傷に伴う後頭動脈の仮性動脈瘤の症例が呈示されているが,頻度は稀でもその存在を知っておくべき病態であると思われた.その他,本号に掲載された研究論文2編,症例報告6編,学会報告記1編はいずれも内容が充実しており,脳神経外科の広い分野を網羅した読み応えのある1月号となった.
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