Japanese
English
連載 日常診療に役立つ“頭部外傷”のminimum essence
(1)外傷性頭蓋内占拠性病変に対する手術適応と手術方法
(1)Surgical Indications and Methods for Traumatic Intracranial Lesions
大谷 直樹
1
,
森 健太郎
1
Naoki OTANI
1
,
Kentaro MORI
1
1防衛医科大学校脳神経外科学講座
1Department of Neurosurgery, National Defense Medical College
キーワード:
traumatic brain injury
,
traumatic intracranial hematoma
,
acute subdural hematoma
,
acute epidural hematoma
,
surgical intervention
Keyword:
traumatic brain injury
,
traumatic intracranial hematoma
,
acute subdural hematoma
,
acute epidural hematoma
,
surgical intervention
pp.823-838
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203820
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Ⅰ.はじめに
重症頭部外傷に対する急性期処置の主たる目的は,正常脳組織に対する2次的損傷を可及的速やかに軽減し,生命機能予後の改善に寄与することである.そのため,神経所見やバイタルサインを評価し,必要に応じて経皮的動脈塞栓術や外科的止血処置を優先し,呼吸・循環動態を安定させることが最優先である.手術の主眼は,出血点の完全止血,頭蓋内血腫や脳浮腫による頭蓋内圧亢進の防止(減圧),感染防止などである.頭部外傷に伴う病態には,受傷機転とその程度,頭蓋内・外の損傷形態など複数の要因が関与し,その転帰には患者の年齢・既往歴・意識レベルや神経学的脱落所見など,さまざまな因子が関与する.こうした複雑な病態とさまざまな予後規定因子が,空間的・時間的経過において刻々と,ときに急激に増悪変化していくことが,急性期頭部外傷の特徴である.そのため,単一で定型的な絶対的手術適応の指標はなく,至適な手術時期・タイミングも含めて症例ごとに個別に判断する必要があり,施設間においても多少の手術適応や方法に相違があるものと思われる.本稿では,重症頭部外傷治療ガイドラインに準じた手術適応とともに,個々の手術戦略について述べる.
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