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本号の「扉」には青森県立中央病院の佐々木達也先生から,「術中モニタリングの未来」と題する原稿をいただきました.脳神経外科領域における術中モニタリングの黎明期から,その開発に関わってこられた佐々木先生ならではの内容となっています.考えてみれば,これまでの脳神経外科手術の発展は,さまざまな機器およびそれに関連する技術の進歩に負うところが大きく,術中モニタリングもその1つと考えられます.CT,MRIの出現により中枢神経の解剖についての理解は格段に高まりましたが,今や単なる解剖からその機能に視点が移り,機能を画像化し,さらに術中モニタリングなどを駆使して安全かつ有効に手術を行う時代になったことを痛感しています.総説ではパーキンソン病に対するDBSについて最近の知見が述べられており,読み応えのあるレビュー論文となっています.テクニカル・ノートでは,術中綿片洗浄細胞診(コットンダム細胞診)により,転移性脳腫瘍摘出術後の髄膜播種のリスクを予測しようとする試みが紹介されています.また,本号には連載の形で,第三脳室腫瘍に対する手術アプローチと手術戦略,下垂体疾患に対する薬物療法,QIを用いたがん診療の質評価の試みについての論文が掲載されています.まったく異なったテーマの3論文でありますが,多様化する脳神経外科診療を反映する内容であり,大変勉強になります.これらの論文以外に,本号には研究2編,症例4編が掲載されており,いずれも力作であり読者諸氏の興味の対象になることを確信しています.
さて,本誌は1973年に本邦初の邦文の脳神経外科専門誌として創刊され,以後,わが国の脳神経外科の進歩に大きく貢献してきました.2011年より編集委員長制が導入され,初代委員長に佐々木富男先生が就任され,2014年には吉峰俊樹先生が二代目の編集委員長に就任されました.この間,多くの新しい企画が始まり,また投稿がオンライン化され,本誌の内容,質は格段に向上しました.本年から,私が委員長を引き継がせていただくことになりました.大変な重責でありますが,読者諸氏のご支援を賜わり,その責務を果たす所存であります.何卒,よろしくお願い申し上げます.
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