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テニスを多少たしなむものとして,このところの錦織圭の活躍には目を見張るものがある.全米オープンでは準優勝,世界ランキングもついに5位まで上昇した.プロテニスというハードなスポーツの世界で日本人の非力な体力では欧米人にはとても太刀打ちできないと考えていたが,彼の快挙は正直驚きである.その陰には日本のテニス振興をめざしたソニーの元副社長で日本テニス協会名誉会長の盛田正明氏の貢献があったことも興味深い.今,テニスコートでは将来の錦織圭を夢見てちびっこプレーヤーが増えている.彼には世界のトップを目指しさらなる飛躍を期待したい.
さて「扉」では川合謙介先生の‘てんかん診療雑感’は興味深く読ませていただいた.「てんかん」に対する社会の偏見やマスメディアの過剰な自主規制の弊害の歴史を紹介するとともに,最近の新規抗てんかん薬の相次ぐ発売とマスコミの対応の変化などから,てんかんをめぐる状況が好転していることが述べられている.学生時代に読んだPenfieldの著作を契機にてんかん一筋に歩んでこられた先生の思いがよく伝わってくる.山崎麻美先生の総説「小児脳神経外科領域における遺伝子診断:Update」は一般の脳神経外科医にはなじみの薄いこの領域についてわかりやすく解説していただいた.また,川俣貴一先生の総説「先端巨大症の最新治療」では内視鏡手術,pseudocapsuleへの対応などの手術療法の現状や薬物治療,放射線治療の役割についての最新の知見を解説いただいた.研究論文では片側顔面痙攣に対する3Dモデルの有用性,MRIの新しい高速撮影法(RESOLVE法)の紹介など,興味深い.連載の「脳卒中専門医に必要な基本的知識」では今回は脳出血について髙木康志先生が解説されており,近年の大規模研究のデータを含め脳出血の知識を整理するうえで有用である.その他,症例報告の5編もそれぞれ異なる領域の興味深い報告である.
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